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日本の3大メガバンクは、ベトナムの大手銀行に1行ずつ出資しています。
みずほ銀行がベトコムバンク、三菱UFJ銀行がヴィエティンバンク、三井住友銀行がVPバンク。3行とも別の銀行です。これは住み分けをしたというより、ベトナムの規則で1行につき20%までしか持てないため、それ以上ベトナムの銀行業に賭けるなら別の銀行を買うしかなかった、という事情があります。
ベトナムの上場企業の株主名簿には、日本の名前がいくつも出てきます。名前を知っている会社が大株主に入っていると、その会社のことが急に身近に感じられます。今回は、日本のお金が入っているベトナムの上場企業と、その背景にある出資のルールを紹介します。数字は毎営業日、各社の開示をもとに更新しています。
日本の資本が入っているベトナムの上場企業
ホーチミン・ハノイ・UPCOMの主な上場企業を調べたところ、大株主に日本の会社・金融機関が入っているのは次の7社でした。
| 銘柄 | 日本の株主 | 持ち株比率 | 時価総額の順位 |
|---|---|---|---|
| CTG ヴィエティンバンク | 三菱UFJ銀行 | 19.73% | 6位 |
| SSI SSI証券 | 大和証券グループ | 15.20% | 31位 |
| VCB ベトコムバンク | みずほ銀行 | 15.00% | 3位 |
| VPB VPバンク | 三井住友銀行(SMBC) | 15.00% | 8位 |
| PLX ペトロリメックス | ENEOS(ベトナム) | 13.08% | 42位 |
| HVN ベトナム航空 | ANAホールディングス | 5.62% | 32位 |
| BID BIDV | 大和-SSIAM のファンド | 0.04% | 4位 |
時価総額の上位10社のうち4社(VCB・BID・CTG・VPB)が入っています。しかもその4社はすべて銀行です。
3大メガバンクが、それぞれ別の銀行に出資している
みずほ・三菱UFJ・三井住友の3行は、それぞれ違うベトナムの銀行の株を持っています。買った時期は10年以上ばらけています。
| 買った銀行 | 買った先 | 時期 | 比率 | 金額(当時) |
|---|---|---|---|---|
| みずほ銀行 | ベトコムバンク(VCB) | 2011年9月 | 15% | 約11兆8,200億ドン(約435億円) |
| 三菱UFJ銀行 | ヴィエティンバンク(CTG) | 2012年12月 | 19.73% | 約15兆5,000億ドン(約631億円) |
| 三井住友銀行 | VPバンク(VPB) | 2023年10月 (合意は3月) | 15% | 約35兆8,900億ドン(約2,190億円) |
三井住友のVPバンク出資は、日本の銀行によるベトナム向け投資では過去最大です。
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なぜ1行ずつなのか — 20%という上限
3行が別々の銀行を選んだのは、相談して住み分けたからではありません。ベトナムには、外国から銀行への出資に細かい上限があります。
| だれが | 銀行1行あたりの上限 |
|---|---|
| 外国の個人 | 5% |
| ふつうの外国の会社・ファンド | 15% |
| 戦略投資家として認められた外国の会社 | 20% |
| 外国人ぜんぶを合わせて | 30% |
みずほの15%、三井住友の15%、三菱UFJの19.73%は、いずれも「戦略投資家」の枠で認められたものです。1行に20%までしか入れないので、それ以上ベトナムの銀行業に賭けたければ、別の銀行を買うしかありません。3行が重ならなかったのは、この上限があったからです。
なお2025年5月19日から、経営の悪い銀行を引き受けた銀行にかぎって、外国人の合計上限が30%から49%に引き上げられました。VPバンクもこの対象です。三井住友がさらに買い増せる余地ができた、という見方もあります。
「戦略投資家」とは
ただ株を買うだけの投資家ではなく、経営の技術や仕組みを持ちこむ相手としてベトナム政府に認められた出資者のことです。認められるかわりに、一定の期間は株を売れないなどの約束が付きます。日本の3行はいずれもこの枠で入っています。
銀行以外の4社
SSI証券 — 大和証券グループが筆頭株主
ベトナム最大手の証券会社SSI証券のいちばん多い株主が、日本の大和証券グループ(15.20%)です。2番目のベトナムの投資会社が7.88%なので、差は2倍近くあります。両社は共同でベトナム株のファンドも運用しています。
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ペトロリメックス — ENEOSが13.08%
ベトナム最大のガソリンスタンド網を持つペトロリメックスに、日本最大の石油元売りであるENEOSのベトナム法人が13.08%を持っています。市場で少しずつ買い増してきた経緯があり、2021年9月の時点では5.08%でした。
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ベトナム航空 — ANAが5.62%
ANAホールディングスは2016年5月、ベトナム航空の株8.8%を2兆4,310億ドン(当時約117億円)で取得しました。いまの比率が5.62%に下がっているのは、そのあとベトナム航空が何度も増資をして、株の総数が増えたためです。比率が下がったのは、ANAが売ったからではありません。
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BIDV — 日本とのつながりは子会社のほうにある
BIDVの株主としての日本の資本は、大和証券系のファンドが0.04%持っているだけで、大株主の一覧には出てきません。ただしBIDVにはBIDV-スミトラスト・リースという会社があり、これは日本企業の三井住友信託銀行との50対50の合弁です。2017年に設立された、ベトナムで初めての銀行系リース合弁でした。
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日本の投資家にとって、何を意味するか
日本の会社が大株主に入っていることは、その株が値上がりすることを意味しません。ただ、次の2つは知っておくと役に立ちます。
- 日本語で情報が手に入りやすい。出資した側は日本の上場企業なので、決算資料や適時開示で、その会社についての説明が日本語で出てきます
- 外国人が買える枠が残っているかを確かめる必要がある。銀行株は外国人の合計上限が30%で、すでに戦略投資家が15〜20%を占めています。枠が埋まっていると、買いたくても買えないことがあります
外国人の保有と上限は、各銘柄のページの数字カードに毎営業日出しています。
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まとめ
- 日本の資本が入っているベトナムの上場企業は7社。うち4社は銀行です
- みずほ・三菱UFJ・三井住友が、それぞれ別の銀行に15〜19.73%を出資しています
- 重ならなかったのは、1行につき20%という上限があるからです
- 銀行以外では、SSI証券の筆頭株主が大和証券グループ、ペトロリメックスにENEOS、ベトナム航空にANAが入っています
※ 持ち株比率は各社が公表した株主名簿をもとに毎営業日更新しています。円の金額はそれぞれの時期のレートによる概算で、出資した側の会計上の損益とは一致しません。投資助言ではありません。
