銘柄コード『VIC』
・株価と為替レート(2023年8月17日時点)
1株=71,900ドン
1,000ドン=6.12円
1円=163.30ドン
ビングループは、2015年以降、2023年現在まで、現金の配当は行っていません。
2015年以降は、株式の配当や1株を10,000ドンで買う権利の付与をしています。
ビングループ(VINGROUP)は、ベトナムのコングロマリットです。不動産を主軸に、電動バイク・自動車製造、ヘルスケア、アニメ制作まで幅広いビジネスを展開しています。
2019年12月に、スーパーマーケット「ビンマート(VinMart)」とコンビニエンスストア「ビンマートプラス(VinMart+)」の小売チェーンを運営するビンコマースをマサングループ(Masan Group)へ譲渡し、新会社設立を発表しています。こうした事業の多角化、別会社化にあたり、ビングループは近年、電動バイク・電気自動車メーカーの子会社ビンファスト(VinFast)へ特に集中して投資を行いました。
このビンファストは、2023年8月15日に特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じてナスダック市場に上場し、1株あたり10ドルの評価額が、一時37.06ドルまで上昇しました。この時、ビンファストの時価総額は、850億ドルとなり、米国の自動車大手・フォードの480億ドルやゼネラル・モーターズ(GM)の460億ドルを倍近く上回り話題になります。ビンファストのナスダック上場が成功したことで、親会社ビングループの株価は、2023年8月だけで50%近くも上昇しました。
ビングループは、ベトナム企業の時価総額上位にあるビンホームズ(Vinhomes)の親会社でもあります。ビングループは、コロナショック後に、ベトコムバンクへ抜かれる前は、長らく時価総額1位でベトナム最大の民間企業でした。2023年8月時点で、ビングループの時価総額は民間企業で2位、ビンホームズが3位になっています。ビングループとビンホームズの時価総額はほぼ変わらず、子会社のビンホームズの方が、時価総額は高くなっている時期もありました。
ビングループ(VIC)の配当
2014年 1回目 | 2014年 2回目 | 2015年 | 2016年 1回目 | 2016年 2回目 | 2018年 | 2019年 | 2021年 | |
配当金 | 1株あたり2,149ドン | なし | なし | なし | なし | なし | なし | なし |
配当(株)もしくは権利 | なし | 1,000株あたり487株 | 1,000株あたり258株 | 1,000株あたり110株 | 1,000株あたり225株 | 1,000株あたり210株 | 1,000株あたり4株まで、1株を10,000ドンで買う権利の付与 | 1,000株あたり124.9999297株の配当 |
配当落ち日 | 2014年8月6日 | 2014年8月26日 | 2015年6月29日 | 2016年6月27日 | 2016年9月15日 | 2018年6月28日 | 2019年12月27日 | 2021年8月17日 |
権利確定日 | 2014年8月8日 | 2014年8月28日 | 2015年7月1日 | 2016年6月28日 | 2016年9月16日 | 2018年6月29日 | 2019年12月30日 | 2021年8月18日 |
配当がもらえる日 | 2014年8月20日 | ※株式付与日は不定 | 2015年7月27日 | ※株式付与日は不定 | ※株式付与日は不定 | ※株式付与日は不定 | 2021年8月24日 |
株式での配当は小数点以下切り捨てで、保有株式数に対して割当られます。例えば、2021年は1,000株あたり124.9999297株配られました。100株持っていれば12株です(0.49999297株は切り捨て)。1,000株なら124株が付与されました(0.9999297株は切り捨て)。
ビングループの年間リターンと配当利回り
ベトナム株式は、配当利回りだけ見ても比較できません。なぜならベトナム株式は、現金配当だけでなく、株式配当もあるからです。株式の配当を出すと1株が希釈化されるため、株価は下落します。ゆえに利回りを計算する際には、リターン(利益率)も見なければなりません。
株式配当があった2021年と、配当がなかった2022年の株価増減率と配当利回り、トータルリターン等を表にまとめました。トータルリターンは、年始に1,000株購入した場合で計算しています。
取引基準株価(年始の終値) | 年末の終値 | 株価の年間増減 | 年間配当 | 現金配当利回り | トータルリターン | |
2021年 | 96,000ドン | 95,100ドン | -0.93% | ・1,000株あたり124.9999297株の配当 | 0 | +11.35% |
2022年 | 101,000ドン | 53,800ドン | -46.73% | なし | 0 | -46.73% |
NISA口座で購入しても、外国株の配当には税金がかかります。しかしビングループは、2014年以降現金配当を行っていません。
NISA口座は、現金配当なし、キャピタルゲインに期待できる外国株の購入がおすすめです。
2021年ビングループのトータルリターン
2021年年始の終値は96,000ドンでした。1,000株持っていれば9,600万ドンの評価額になります。
2021年8月に、1,000株保有ごとに124.9999297株の株式配当が付与されました。1,000株では、124株を実際には配られました。
年末は1,124株を所有し、終値は95,100ドンになったため、1億689万2,400ドンの評価額になりました。
2021年年始の終値で1,000株購入した場合、9,600万ドンの評価額が1億689万2,400ドンになったため、トータルリターンは+11.35%になりました。
2022年ビングループのトータルリターン
2022年は現金配当も株式配当もありませんでした。株価は年始101,000ドンから年末53,800ドンと1年間で大幅に下落しました。2022年年始に株式を購入した場合、結果的にトータルリターンは-46.73%になりました。1年で半分近くまで暴落しています。
ビングループの株主
株主 | 所有株式数 | 所有割合 | 情報更新日 |
VIDGROUP (CTCP Tập đoàn Đầu tư Việt Nam)(法人) | 1,260,132,658 | 32.57% | 2022年12月31日 |
ファム ニャット ブオン (Phạm Nhật Vượng)(個人) | 709,883,374 | 17.87% | 2023年3月24日 |
VMI Real Estate(CTCP Quản lý và Đầu tư Bất động sản VMI)(法人) | 243,462,578 | 6.29% | 2022年12月31日 |
SK Investment Vina II Pte.Ltd (法人) | 231,471,224 | 5.98% | 2022年6月30日 |
ファム トウー ハウン (Phạm Thu Hương)(個人) | 169,938,525 | 4.39% | 2022年12月31日 |
ファム ニャット ブオンは、1968年生まれのベトナム人です。ビングループの創業者であり、現在はビングループの会長をしています。
ロシア留学後に、93年にウクライナで即席麺などを生産する会社を作りました。その後、不動産市場に投資して資産を構築し、流通、電子、ホテルやリゾートなど全方面に事業領域を広げ、ベトナム最大の企業を作り上げました。
2013年に資産は10億ドルを突破し、ベトナム人で初めてのビリオネア(資産10億ドル以上)になりました。
VIDGROUP(CTCP Tập đoàn Đầu tư Việt Nam)
2006年に設立されたベトナムの投資会社です。株式投資と工業団地のインフラ開発分野で事業を展開しています。
グエン テイー グエット ハウン(Nguyễn Thị Nguyệt Hường)が会長です。
VMI Real Estate(CTCP Quản lý và Đầu tư Bất động sản VMI、VMI JSC)
ビングループの創業者で会長のファム ニャット ブオンが2022年10月6日に設立した不動産会社です。ファム ニャット ブオンがビングループ株2億4,300万以上を出資し、VMI Real Estateの90%を占める主要株主です。VMI JSCもVingroupの大株主となりました。
不動産情報プラットフォームも構築し、ビンホームズの開発物件の販売促進のほか、中古物件の取引拡大に繋げる意向です。
ベトナム不動産の小口投資サービスも提供し、物件運用による利益は出資比率に応じて投資家に分配する金融商品の開発もしています。
SK Investment Vina I Pte.Ltd.
SK(株)とSKイノベーション、SKテレコム、SK・E&S、SKハイニックスの5社が共同出資して設立したSK東南アジア投資法人です。
SK Groupは韓国のエネルギー、テレコム、ハイテク部品、logistics、サービスの分野でトップの企業です。現在40カ国で活動しており、2017年時点で売上はおよそ1,410億ドルです。
2019年5月にビングループの株式6.1%を10億ドルで取得し、大株主になりました。
ファム トウー ハウン(Phạm Thu Hương)
創業者ファム ニャット ブオンの奥さんです。ビングループの副会長をしています。ベトナムでは、創業者が配偶者を株主や役員するのも珍しくありません。
2022年末でビングループ株式だけでも4.39%を保有し、ベトナムで4番目の金持ちとされています。
ビングループ(VIC)株を買う方法
ベトナムの証券会社でビングループ株を買えば、手数料も安く済みます。主な手数料の取引手数料は、約定代金に対する%で0.10%~です。例えば1億ドン(約61万円)分の株式を購入しても610円程度の手数料しかかかりません。
しかし日本人がベトナムで証券口座を開設するには、6ヶ月以上の有効なビザが必要とされます(※証券会社によって口座開設の要件は異なります)。ビザ取得には、ベトナムでの就職や起業などが必要になります。
日本に住む人は、日本の証券会社でベトナム株を買う方が敷居は低いです。