ベトナム株には配当金(現金配当)の他に、株式配当や株式を定額で買える権利(ストックオプション)の付与があります。
- 現金配当
- 株式配当
- 株式を定額で買える権利(ストックオプション)
株主総会への出席で記念品を贈呈している企業はあります。しかし、通常ベトナム株に株主優待はありません。
ベトナムの証券口座でベトナム株を保有すると、現金配当は支払予定日にベトナムドン、株式配当は株式のままで証券口座へ追加されます。株式を定額で買える権利は申し込みによって行使が可能になります。ベトナムの証券口座ではなく、日本の証券口座でベトナム株を買った人は現金配当や株式配当の受け取り方に違いがあります。
ベトナム株の配当利回りは日本株と同じ意味で見るべきではありません。なぜなら、現金以外に、株式配当や株式を定額で買える権利(ストックオプション)付与があるからです。これらのために新株発行をし、株価がその割合で下落します。つまり、配当利回りがよくても、利益が減ったり、損失になることがあります。配当目当てでベトナム株を購入する人も、配当と利益を合わせたトータルのリターンは見るべきです。
今回はベトナム株の配当を受け取る方法とベトナム株の配当利回りについて紹介します。
ベトナム株の配当を受け取る方法
配当金(現金配当)はベトナム株を購入した証券口座へ振り込まれます。配当の現地支払日(配当がもらえる日)はIRで公開されています。現地支払日だけでなく、配当落ち日や 権利確定日も事前にIRで公開されています。IRは企業のホームページより、株式が上場している証券取引所の方が見つけやすいと思います。
参考
ファーライ火力発電(PPC)のIRホーチミン証券取引所
企業ごとに割り当てられる銘柄コード(3文字のアルファベット)で検索します。ファーライ火力発電ならPPCです。
現金配当は証券口座に振り込まれます。ベトナムでは配当金にかかる税金が5%です。ベトナムの証券口座では配当金が入金される時に、税金が引かれています。つまり、証券口座へは5%の税金が引かれた金額が振り込まれます。
日本の証券口座でベトナム株を買うと、通貨や振り込まれるタイミングが証券会社によって異なります。例えば、SBI証券は現地支払日から1~2国内営業日後に、ベトナムドンで支払われます。
外国株式の配当金は、現地支払日に発行会社から支払われます。お客さま口座へのご入金は、当社が現地での配当金の支払を確認後、入金処理をいたしますので、時差や発行会社の支払い状況、処理等の都合上、おおむね現地支払日から1~2国内営業日後になります。
株式配当や権利の受け取り方
ベトナム株には現金配当の他に、株式配当や株式を定額で買える権利(ストックオプション)の付与があります。
株式配当の割合は銘柄や時期によって異なります。割り切れない場合、小数点以下は切り捨てとなることが多いです。例えば、150株を持っており、20株に対し1株の配当がもらえるときは7.5株です。しかし、0.5株は切り捨てのルールに従い、実際の配当は7株になります。
株式を定額で買える権利(ストックオプション)も、いくらで何株まで買えるかは銘柄や時期によって異なります。価格は市場価格よりも安い値段であることが多いです。例えば、サオタ食品は2019年、株価が2.7万ドンぐらいのときに2.5万ドンで買う権利を付与しました。2016年、2017年もこの権利を配っています。いずれもマーケット価格より割安でした。
ベトナムの証券会社で株式を保有すれば、株式配当は現地支払日に証券口座へその分量追加されます。定額で買える権利も申し込みの通知が来ます。しかし、日本の証券会社でベトナム株を買った人は通常、株式のままでは受け取れません。日本の証券口座でベトナム株を保有していると、株式配当は株式ではなく、配られた株式を売却して現金(ベトナムドンもしくは日本円)で入金されます。例えば、20株に対し1株の配当が付与されると、1株を売却した金額が証券口座へ振り込まれます。
配られた株式を売却して現金で振り込まれると、利益(もしくは損失)確定とほぼ同じ行為になります。例えば、10株に対して5株が発行されると、通常は新株発行も行います。結果的に、発行株式数は1.5倍になり、権利落ち日に株価は3分の2まで下落します。日本の証券会社では3分の1の株式が現金化され口座に振り込まれるため、利確(損切)と同じ行為になります。ただし、株式配当は日本の証券会社すべてで株式配当が現金化されるとは限りません。ベトナム株式を保有する証券会社に問い合わせをしてみてください。
株式を定額で買える権利(ストックオプション)の付与も日本の証券口座では通常行使できないようです。権利の行使については、こちらもベトナム株式を保有する証券会社に問い合わせをしてみてください。
- 現金配当:ベトナムドンもしくは日本円に両替され証券口座へ振り込まれる
- 株式配当:(通常は)株式配当分が現金化され、日本円もしくはベトナムドンで証券口座へ振り込まれる
- 株式を定額で買える権利(ストックオプション):(通常は)権利行使できない
ベトナム株の配当利回り
ベトナム株に投資している人は配当が%で表示されているのを見たことがあるかもしれません。ベトナムでは配当利回りを1万ドン100%として計算します。株式1株の額面価格が1万ドンだからです。例えば、1年の配当が2,000ドンなら20%、20,000ドンなら200%です。
この%を元にベトナムにも配当のランキングを掲載してるサイトがあります。
しかし、こちらの%で配当利回りのランキングを作成するのは間違いです。このランキングは配当金額のランキングです。配当金額を株価で割った配当利回りのランキングにはなりません。
こちらのランキングでは株価が大きい株ほど配当の%も大きく上位になりやすいため、参考にはならないでしょう。
ベトナム株は配当利回りよりもトータルリターン(利益)で比較しましょう
配当で株式を配ったり、定額で株式を買う権利を付与すると、配当利回りの計算が難しくなります。例えば、配当で2株あたり1株配られるなら、利回りを+50%で計算しなければなりません。
株式を定額で買える権利が付与されれば、こちらも配当利回りの計算を難しくします。例えば、マーケット価格が1株2万ドンを越えるときに1万ドンで買える権利を付与する銘柄もありました。
株式配当や株式を定額で買える権利(ストックオプション)付与のために新株発行をすれば、株価がその割合で下落します。つまり、配当利回りが良くても、配当を出したせいで株価が下がり、リターン(利益)が少なくなったり、損する銘柄もあるのです。従って、日本株と同じ意味でベトナム株の配当利回りを見るべきではありません。
配当利回りでのランキングはベトナム株ではほぼ意味をなさないです。しかし、現金配当と株式配当、株価上昇(利益、リターン)をすべて加えたリターンの比較はできます。2019年の配当利回りと2019年年始の終値と年末の終値で見たリターン(利益率)のランキングを作成しました。
2020年新型コロナウイルス不況後の下落率と今注目しているベトナム株もこちらでは紹介しています。